公式ルール(国内版)
ブラインドラグビールール(国内版)
第1条(総則)
- 1チームあたりの選手人数は、7名とする。
- 使用するグラウンドの大きさは、縦幅を70メートル以上100メートル以内とし、横幅を50メートル以上65メートル以内とする。
- 試合時間は前半後半各10分ずつとし、ハーフタイムを3分とする。
- 試合時間終了後の点数が高いチームを勝ちとする。
- 試合時間終了後、双方のチームの得点数が同じ場合は、各大会規定により勝敗を決する。
第2条(視覚障がい者)
- 試合中、フィールドには、1チームあたり5名以上、身体障害者手帳に視覚障害と記載されている選手又はこれに準ずる視覚障がいを有する選手(以下、「視覚障がい者」という。)が常に存在しなければならない。
- 視覚障がいを有しない選手(以下、「晴眼者」という。)がアイマスクを着用してフィールドに存在する場合、視覚障がい者とみなす。但し、晴眼者が、試合中にアイマスクを外した場合、その時点から視覚障がい者としての出場資格を失う。
- 視覚障がい者は、試合中、ヘッドキャップ及びマウスガードを着用しなければならない。
第3条(ガイド選手)
- 全盲又はそれに準ずる選手(以下、「被ガイド選手」という。)がいる場合、第1条第1項記載の人数とは別に、同選手をガイドするための選手(以下、「ガイド選手」という。)を1名フィールド上におくことができる。
- ガイド選手及び被ガイド選手は、その他の選手と識別のため、ジャージにマークを付する。
- ガイド選手は、被ガイド選手に対してだけ、発声による方法でコーチングすることができる。
- ガイド選手は、被ガイド選手に対しコーチングする場合、同選手の真後ろからしなければならない。
- ガイド選手は、フィールドにいる間、いかなる者及びボールに触れてはならない。
- ガイド選手が、発声によるコーチング以外の方法で、プレーに関与した場合、試合を中断する。
- 前条の場合、ガイド選手が属するチームが攻撃をしていた場合、相手チームに攻撃権が与えられ、ガイド選手がファールをした位置からボールをペナルティタップすることで試合が再開する。
- 本条第6項の場合、ガイド選手が属するチームが防御をしていた場合、相手方に再度6回の攻撃権が与えられ、かつガイド選手がファールをした位置からボールをペナルティタップすることで試合が再開する。
第4条(審判)
- 1試合における主審(レフリー)は1名であり、副審(アシスタントレフリー)は最大3名とする。
- 主審は、試合中において、フィールド上で生じた事態の本ルール該当性及び同ルール違反の処分を判断することができる。
- 主審は、試合中に自己の判断を示す際、ホイッスルを吹かなければならない。
- 主審は、試合を中断又は再開する際、ホイッスルを吹かなければならない。
- 主審は、自己の判断を示す前に、副審に意見を求めることができる。但し、副審の意見は主審の判断を拘束しない。
- 主審は、試合妨害行為、危険行為及び主審又は副審に対する抗議行為等、当該選手を一時退場又は退場させることが相当と判断する場合、当該選手に対し、3分間の一時退場(以下、「シンビン」という。)又は退場を命じることができる。本項前段の規定は、ガイド選手に対しても適用される。
- 前項の場合において、被ガイド選手がシンビン又は退場を命じられた場合、フィールド上の被ガイド選手が属するチーム内に晴眼者が存在する場合、シンビン又は退場を命じられた選手に代わり、シンビン又は退場となる。
- 主審がシンビン又は退場を命じた時点で試合は中断し、シンビン又は退場を命じられた選手が属するチームの相手方の選手がボールを足で触った上、同選手以外の選手に対し第7条第1項記載のパスをすることにより試合が再開される。
- シンビンを命じられた選手は、指定された場所で待機しなければならない。
第5条(監督等)
- 1試合における監督及びコーチの数は各チームそれぞれ1名ずつとする。
- 監督及びコーチは、選手に対し、指定されたエリア内において発声による方法でコーチングすることができる。
- 各チームは、相手方トライエリア内に設置されたゴールポスト裏側に、当該チームに属する選手を発声による方法でコーチングするガイド1名を設置することができる。
第6条(得点方法)
- ボールを保持している選手が、相手方トライエリア内及びインゴールラインにボールをダウンすることによってトライが成立する。
- トライを成立させた選手が属するチームは、1トライ毎に、5点を得る。
- トライを成立させた選手が属するチームは、トライ成立後、トライが成立した地点から自陣までを垂直で結んだ線上の任意の地点から、相手側トライエリア内に設置された2本のポールの間にボールを蹴る(以下、「コンバージョンキック」という。)ことができる。
- コンバージョンキックが成立した場合、コンバージョンキックを成立された選手が属するチームは、2点を得る。
第7条(攻撃権)
- ボールを保持しているチーム(以下、「攻撃側」といい、攻撃側の相手方のチームを「防御側」という。)は、相手方のチームに6度タックルされるまで攻撃権を有する。
- ボールを保持しているチームの選手が、自陣のトライエリア内にボールを持ち込みそのボールをダウンした場合、その地点から相手陣までを垂直で結んだ線上で、自陣インゴールラインから5メートル離れた所から相手ボールスクラムで試合が再開する。
- 攻撃側のチームで、被ガイド選手がタックルを受けた場合、1度はノーカウントとする。その際、タックルをされた被ガイド選手は第9条第3項の方法でボールを置かなければならない。
第8条(パス)
- ボールを保持している選手は、同人の属するチームの他の選手に対しボールを渡す(以下、「パス」という。)際、手を用いなければならず、足を用いたパスは認められない。
- パスは、ボールを保持している選手の水平方向又は後方にしなければならない。
- パスを前方にした場合、スローフォワードとなる。
- パスを受けた選手が、ボールを前に落下させ地面に落とした場合、ノックオンとなる。
- 本条第3項及び第4項以外の方法でボールが地面に落ちた場合、試合は継続する。本条前段の場合に、ボールを保持していないチームの選手がボールを確保すると、攻守交替となり、ボールを確保したチームに新たに攻撃権が6回付与される。
第9条(タックル)
- タックルとは、防御側の選手が、両手を用いて、攻撃側のうちボールを保持している選手の胴体部のうち肩から膝の間に触れるこという。但し、被ガイド選手が、両手又は片手を用いて、相手チームのうちボールを保持している選手の胴体部のうち肩から膝の間に触れた場合、タックルが成立したとみなす。
- タックルが成立した場合、防御側の全ての選手は、タックルが成立した地点から5メートル後方の地点まで戻らなければならない。
- タックルが成立した場合、タックルを受けた選手は、同人が保持しているボールをタックルが成立した場所にボールを跨ぐ方法で置かなければならない。
- 前項の場合、攻撃側の選手のうちタックルを受けた選手以外の選手は、タックルを受けた選手がフィールド上に置いたボールを触れることができる。本項前段のタックルを受けた選手以外の選手がボールを持ち上げた時点で、相手方のチームは前進することができる。
- タックルは、必要最低限の力で行わなければならない。
- タックルをしようとする者は、タックルを受ける者に対し、必ず「ター、ター、ター」という声を掛けなければならない。声掛けをせずにタックルにいった場合は防御側のノースピーキングファールとなり、攻撃側のチームに再度6回の攻撃権が与えられ、その地点からボールをペナルティタップしてパスをすることでプレーが再開する。
- タックルをしようとする者は、タックルが成立した時点で、「タッチ」とコールしなければならない。
- 前項は、第7条記載の攻撃権が生じる毎に新たに適用される。
第10条(ダミーハーフ)
- タックルを受けた選手以外の攻撃側の選手がボールを持ち上げた後、攻撃側の他の選手がボールに触れる前(以下、この状態の選手を「ダミーハーフ」という。)に新たにタックルが成立した場合、第7条記載の攻撃回数にかかわらず、相手方に攻撃権が移転する。
- ダミーハーフはセットプレイからボールの持ち出しをすることができない。
- 晴眼者は、トライをすることができない。
- ダミーハーフはトライをすることができない。
- 防御側の選手による反則によりトライが成立しない場合、審判は、同反則がなければトライが成立した蓋然性が高いと判断した場合、認定トライを宣言することができる。
- 審判が認定トライを宣言した場合、攻撃側は7点を得る。認定トライ宣言後、コンバージョンキックは行われない。
第12条(コンバージョンキック)
- 視覚障がい者だけがコンバージョンキックを蹴ることができる。
- 晴眼者又はガイド選手のうち1名は、コンバージョンキックが行われる際、ゴールポストの裏側から、コンバージョンキックを蹴ろうとする選手に対し、発声による方法で、ゴールポストの位置及びゴールポストまでの距離を伝えることができる。
第13条(スクラム)
- 第8条第3項又は同上第4項の反則があった場合、主審が笛を吹くことにより試合は中断し、スクラムによる方法で再開する。但し、主審は、試合を中断しないことが相当(以下、「アドバンテージ」という。)と判断した場合、試合を中断しないことができる。
- スクラムは、3対3で行い、スクラムの際に、各チームは相手方の選手を押してはならない。
- スクラムが組まれた後、攻撃側の選手のうちスクラムに参加している選手以外の選手1名(スクラムにボールを投入する選手)が再びボールを持ち上げるまでの間、防御側の選手のうち、スクラムに参加している3名を除く全ての選手は、同チームのスクラムに参加している選手のうち最も後方に位置する選手から5メートル以上後方に位置しなければならない。但し、防御側は、スクラムに参加している3名を除く全ての選手のうち1名に限り、同チームのスクラムに参加している選手から1メートル以上後方、またはスクラムを組んでいる3名の選手に手が触れるところに位置することができる。
- スクラムが組まれた後、攻撃側の選手1名がボールを持ち上げるまでの間、攻撃側の選手のうち、スクラムに参加している3名を除く全ての選手は、同チームのスクラムに参加している選手のうち最も後方に位置する選手から1メートル以上後方に位置しなければならない。
第14条(ラインアウト)
- ボールがタッチラインの外に出た場合、またはボールを保持している選手がタッチラインを踏んだ場合は試合を中断し、ラインアウトとなる。
- ラインアウトは4対4で行う。攻撃側は、1名のスローワー及び2名のレシーバー、1名のダミーハーフを選出し、防御側は、1名のフッカー及び2名のレシーバー、1名のダミーハーフを選出しなければならない。
- ラインアウトは、攻撃側のスローワーがタッチラインから、同選手が属するチームのレシーバーにボールを投げ入れる方法で行い、スローワーの属するチームのレシーバーが捕球し、そのボールをダミーハーフに渡し、ダミーハーフの手からボールが離れた時点で試合が再開する。
- ラインアウトとなった後、本条第3項により試合が再開するまでの間、防御側のフッカー及びレシーバー、ダミーハーフ以外の全ての選手は、防御側のフッカー及びレシーバーのうち最も後方に位置する選手から5メートル以上後方に位置しなければならない。
- ラインアウトとなった後、本条第3項により試合が再開するまでの間、攻撃権を有するチームのスローワー及びレシーバー、ダミーハーフ以外の全ての選手は、自身が所属するチームのレシーバーから1メートル以上後方に位置しなければならない。
第15条(選手交代)
監督は、試合が中断している間、何度でも、主審に対し、選手交代を申し出ることができる。
第16条(雑則)
試合中、試合に出場していない選手は、フィールド外の各チームにそれぞれ指定されたエリア(以下、「サブボックス」という。)の中で待機していなければならず、試合に出場している選手及びガイドプレーヤーに対し、方法を問わずコーチングしてはならない。但し、試合に出場していない選手は、選手交替、第12条第2項の場合、給水時及び選手が負傷した時の治療を行いう場合、サブボックスの外に出ることができる。